あらゆるオタクの感性が30年遅れている件について
今日、日本テレビの「DON」でAKB48の特集をやっていました。
出演していたのは、南海キャンディーズの山里、法政大学の稲増龍夫らで、彼らは口を揃えてこう言います。
「AKB48が売れたのは、選抜総選挙など、ファンが応援することで運営に参加できる仕組みを『はじめて』作ったからだ」
これが大間違いであることは「松田聖子と中森明菜」(中川右介:幻冬舎新書)を読めば分かります。
史上初めて、ガチンコの売り上げを元にランキングを発表したTBSの番組「ザ・ベストテン」において、松田聖子のシングル「秘密の花園」(83年02月)が挑んだのは、10週連続1位という番組新記録でした。
当時のファンは、これを確実なものにするため、われ先にとレコード屋へはしり、予約を入れたというのです。
このときシングルは「曲も出来ていない」「タイトルすら決まっていない」「決まっているのは発売日だけ」という状況でしたから、この行為はファンにとって「松田聖子をテレビで輝かせたい」という、純粋でまったく混じりけのない意味を持ったものでした。
これが80年代の中ごろですから、山里や稲増の思考はその時点でストップしていることが分かります。
むろん、それに同調しているファンもそうですね。
AKB48劇場に押しかけて、戸賀崎らスタッフの物分りがいいのをいいことに、あれこれと注文を付けたりしてた連中なんて、まさにその手合いでしょう。
思えば、オタクコンテンツには30年ほど感性が遅れているなと思わせる事物が多いことに気づきます。
ざっと挙げてみましょう。
メディア | 作品 | 概要 |
---|---|---|
アニメ | けいおん! | サブタイトルが『カセットテープ』をモチーフにしている |
ドラマ | 電車男 | ヒロインであるエルメスたんが元彼に別れを告げるシーンが『公衆電話』だった |
ゲーム | ラブプラス | 『古臭いデートマニュアル』を使っている(芸人的人間関係に配慮できていない) |
人声シンセサイザー | 初音ミク | デザインに使われているのが80年代のシンセサイザーの名機である |
AKBだって、ほかにも「言い訳Maybe」「会いたかった」「大声ダイアモンド」といった代表曲の歌詞が、思いっきり80年代の風景を歌っています。
ほかのジャンルでも、探せばいくらでも出てきそうな気がします。
まぁ、非オタクの側も似たようなもので、アニメなら「エヴァ」(95年)にいまさらハマっているわけですからね。
「流行は30年前の何かをリバイバルする」という、法則みたいなものでもあるのでしょうか。