萌え豚っていうな!

萌えヲタのことを萌え豚となんの根拠もなく言うのを止めさせることを目的としたブログ。自分で言うことも含む。

「ヲタ卒した」「いまはアンチ」と言うやつに限ってマジファン的行動を取っている件について

 2ちゃんねるの狼掲示板には、ハロプロに対するネガティブな書き込みが溢れています。

 「ハロヲタなんて辞めたから」

 「今はむしろ嫌い」

 そうやって公言し、朝から晩まで板に張り付いているひとは、ひたすらに悪口を書き込んでいるのだという話なのですが、こちらのエントリ、

 ウェブはKYと外人のもの −ネットユーザーはなぜリア充を毛嫌いするか−
 http://d.hatena.ne.jp/salbun/20100605/1275697857

 で書いたとおり、ネットユーザーにはコミュニケーション上、鈍感なところがあります。

 いわゆる「コミュニケーション」といえばリア充が重視するものですが、テレビのお笑い芸人たちの言動をきっかけにして、いま若者のあいだには一つの価値観が広まっています。

 それは「面白いと言われるのと、つまらないと言われるのは等価値。辛いのはスルーされること」というものです。

アンガールズ上島竜兵のつながり

 例えばアンガールズ田中卓志は「おまえキモイよ」と言われたとき、「キモくないから!」と必死になって否定するのですが、「その身振りがキモイから」といって笑われます。

 しかし、これは決して場の空気を険悪にする「笑い」ではありません。

 経済学でいうハイパーインフレーション、つまり「お金の価値が上がりすぎて、逆に貨幣に価値がなくなってしまう」という現象のように、「キモさのインフレーション」が起こることで、むしろ「キモイ」ということばが肯定的な意味で使われているのです。

 テレビをあまり見ない人だって、アンガールズの代名詞が「キモカワイイ」であることは知っているでしょう。

 彼らにとって辛いことは「キモイ」と言われることではなく、「誰にもいじってもらえないこと」なのです。

 これは「キモイ」ということばの意味が反転していることの証左であり、先のエントリで見た上島竜兵の「押すな」が「押せ」という意味で流通するのと、まったくおなじ現象なのだということが分かります。

 そして、実のところ、これはインターネットにも当てはまります。

芸人的人間関係と検索エンジンのつながり

 ネット上の重要なツールの1つに「検索エンジン」がありますが、これは「悪口」だろうが「褒め言葉」だろうが、ヒット数(書き込み数・PV数)に直してしまうことで、どちらも「1」にしてしまうものです。

 その効果を言い換えると「書き込み(発言)の善悪(是非)」が中和されるということですから、テレビのお笑い芸人たちの文化(芸人的人間関係)とおなじ構造があることになります。

 むろん1つずつ見ていけば、どちらなのかは分かりますが、それが分からないひとは、詳しく調べていかないでしょう。

 例えば「モーニング娘。」で検索したとき、いまだと「4,750,000件」(2010年06月05日午前10時)がヒットするわけですが、これは上位に示されるのがオフィシャルサイトなど当たりさわりのないものであり、いわば「悪口でも、褒め言葉でもない、中立的な情報源」です。

 込み入った話があらわれてくるのは2ページ目以降で、そこまで調べようとするひとは大層なファンですから、そういうひとはヒット数における悪口の割合がどれくらいなものか、すでにして知っているのです。

 つまりグループ名などベタな方法で検索をするのは非ヲタなのであり、そういった浮動票を持つ層に対しては、どれだけ酷い悪口を書き込んでも「書き込み数:1」としか映らないわけです。

 よって、ただひたすらに検索数だけが伸びていき、「悪口を言った相手が、かえって有名になっていく」という結果が生まれるのです。

 これは「炎上したブログの主が有名になる」「『an-an』の抱かれたいタレントは、必ず抱かれたくないタレントにもランクインしている」といった現象からも分かるでしょう。

バカは利用すればいい

 そして人間というのは悲しいもので、「褒め言葉」よりも「悪口」のほうが楽しく感じますから、あるタレントの知名度を伸ばしているのは「褒め言葉を書き込むファン」ではなく、じつは「悪口を書き込むアンチ」のほうなのだと言えるのです。

 筆者はハロプロのファンですから、狼の現状に対する不快感を禁じえませんが、こうした考えをあちらに書き込みに行って、彼らの行動を止めさせようとはしません。

 それは自己矛盾になるからであり、「彼らが悪口を書くほど、ハロプロは有名になっていく」のです。

 近年、ハロプロはAKBに押されているなどといいますし、そういったアイドル内政治の問題も含めて、ハロプロの劣勢は決定的であり、むしろ彼らには活躍してもらわなければ困ります。

 ただ、それならばこんなエントリは書かなければいいのですが、いまこうしているのは、筆者がそうであるように、アンチではない人間にとって、このカオス的な状況は耐え難いものであり、せめて状況を整理することばを提供する必要があるなと思ったからなのです。