「サンジャポ」に出演したAKB、『政治ネタに食いつかない』という正しい振る舞いをする
2010年06月06日、TBSの「サンデージャポン」にAKB48が出演しました。
メンバーは前田敦子、大島優子、板野友美、秋元才加の4名で、最初の3人などは人気投票のトップ3(順同/06月06日現在)という、ヲタにとっては豪華なものでした。
まぁ、番組の内容は当たり障りないものでして、いわゆる「政治の話にちんぷんかんぷんな女の子たち」がメンバーによって演じられていたのですが、これって象徴的だと思うんですね。
番組が番組ですから当然、政治がらみの話が多いわけで、鳩山総理の辞任にも言い及ぶわけです。
すると「小沢さんに操られて総理が日和った」的な話になり、「彼は主体性がない」ということになるわけですが、「自主性がない=自分の意思をもたない」という意味ではアイドルだって同じでしょう。
作詞も作曲も衣装も、あるいはコンサートMCでさえも、すべては他人に決めてもらい、あげく一見自由にみえるブログでさえイメージを崩すようなことは書けない(=自意識に縛られる以上のなにかがある)わけです。
まぁ、それを守ってこそのアイドルなのですが、そうであればこそ、もしあそこで あっちゃん(前田敦子)が政治ネタに食いついたとしたら、どうでしょう。
なにも悪いことをしているわけではないし、彼氏の存在が発覚したというわけでもないのに、どことなく興ざめするのではないでしょうか。
そして、それはAKBのヲタであるか否かは関係がないと思うのです。
以前、このエントリ――
「大好きだ。前田敦子が大好きだ」――声の限り叫ぼう
http://d.hatena.ne.jp/salbun/20100529/1275100696
でも書きましたが、アイドルグループのセンターというのはプレーンな存在であり、またそうあるべきであり、「政治ネタに食いつくキャラ」ということすら成立しない(「私、賢いでしょ?」アピールを水に流せない))のではないでしょうか。
そもそも、キャラの話はともかくとして、「前へ前へ」と出て行こうとするタイプは、つんく♂がモーニング娘。のオーディションに関して言っていた「協調性の無い子は落とす」という考えのように、アイドルグループの中では台頭できないように思うのです。
小泉純一郎が「派閥争いのエアポケットに入り、気づいたら政権を握っていた」というように、結果として、前へ出ようとしないメンバーが中心に座ってしまう。
そういうトリッキーな力学が日本人の人間集団にはあるように思います。*1
そして、アイドルグループ(や女子アナ)というのは、そういう「控えめになることこそ美徳」「他人を立てることこそ善行」といった価値観を確認するために大事なものであり、ファン以外の人間も、それを見ることで大きな学習をしているのだと思うのです。
だから世に多くいるであろう、「アイドルは政治とか分からないバカなのだ」と思っているやつこそがバカ(=「『バカ』って言うやつがバカ」の典型)なのだと思います。
つまり、「サンジャポ」におけるあっちゃんは政治家なのであり、政治家(被選挙民)の愚かさが国民(選挙民)の愚かさであるように、あっちゃんの愚鈍は視聴者の愚鈍なのだろうと、そういうことです。
*1:実際、番組でも、AKBの総選挙についてのコメントは、1位の前田が前回の総選挙の結果発表時のものの再利用で、2位の大島は番組用に語りおろしたものでした。大島のコメントは「総選挙のおかげでメンバーは個性を出せるようになった、自己アピールができるようになった」と語る一方で、前田は「個性」や「自己アピール」について一切言及しないという結果になっていました。このちがいが1位と2位の心構えのちがいを物語っているのではないでしょうか。