Q:いま一番ダンスがうまいアイドルは誰?――A:鈴木愛理(と前田憂佳)(3/3)
このエントリは、次のエントリの続きです。
Q:いま一番ダンスがうまいアイドルは誰?――A:鈴木愛理(と前田憂佳)(2/3)
清水佐紀vs前田憂佳のダンスバトル
こちらの映像をごらんください。
High-King「C/C(シンデレラコンプレックス)」
http://www.youtube.com/watch?v=PaEQusgAfuM
0分32秒あたり
「誰も彼もが かわゆく見えるわ♪」のところ。
「誰も彼もが」と「かわゆく見えるわ」のあいだに、つんく♂のものを加工したとおぼしき「ヒェ!」みたいな男の声が入りますが、この瞬間のうしろの3人(左から清水佐紀・田中れいな・前田憂佳)に注目してください。
3人はおなじ動きをしています。
「画面向かって右がわを向いたまま、何かを巻き込むようにして両手を動かしたあと、両手を斜め上に開きながら体の向きを反転させる」というものです。
ここでのポイントは、反転のさい「手前に位置する右手の動き」です。
清水の動きを見てみると、右から左へ一直線に移動しています。
これは次元でいうと二次元の動きです。(左右のベクトルが動き(1次元)、上下のベクトルが少しだけ動いている(2次元))
一方の前田(田中は下手すぎて論外です)はというと、「画面の手前に向けて突き出されている」ことが分かります。
これは三次元の動きです。(清水とおなじものに加え、前後にも動いている(3次元))
これは前田に軍配があがります。
なぜかというと、このシーン(体の向きを反転させる)の動きが、本質的に3次元のものだからです。
実際にやってみると分かりますが、「両手を左右に広げたまま、腰をひねる」と、手先は「地面と水平な状態で円を描く」ようにして移動します。
この「自然の摂理」に従った動きをしているのが前田なのであり、清水(と田中)はそれに失敗しているのです。
表面上のテクニックに騙されるな
℃-uteを観察したときもそうでしたが、清水をはじめ、一般にヲタが「うまい」と評価するアイドルには、この「自然の摂理(流れ)」を無視するダンサーが多すぎます。
最初にリンクしたスレで、
273 :名無し募集中。。。:2010/06/05(土) 14:33:59.34 0
モーヲタなんてどーせ「激しいダンス=巧い」くらいの認識しかねーんだろ?
という書き込みがありましたが、まさにそのとおり。
歌唱力議論スレでも、しばしば「声量が多い=歌がうまい」という図式を否定する書き込みがなされますが、これらは「表面上の問題に囚われて、本質を見誤るな」という注意をうながしている点で同じです。
逆にいえば、そうしたツッコミが入るほど、誤った認識で議論しているひとが多いということなのです。
ただし「激しさ」という要素が必要なことも事実で、愛理にしたって先述の「まっさらブルージーンズ」程度なら問題ありませんが、インディーズ4部作でいうと「即 抱きしめて」のような激しい楽曲は似合わず、バカみたいにヘッドバンギングしている矢島舞美に迫力の点で負けています。
ただし、これもくり返すように、そんなにパワフルなダンスが見たいなら洋楽を聴けという話であり、愛理の才能を十分に堪能したいなら、「大きな愛でもてなして」のような繊細な楽曲を選ぶべきでしょう。
「大きな愛でもてなして」は鈴木愛理の「アイドルダンス」の最高傑作
この曲には1番のサビの部分、センターの3人(鈴木愛理・村上愛・矢島舞美)が同じ動きをしているところがあります。
℃-ute「大きな愛でもてなして」
http://www.youtube.com/watch?v=WVl78PHDizk
0分48秒あたり
「顔の前方に向けて、ゆっくり手を差し出す」というものですが、イントロなど何回もリフレインされるDメロの「大きな愛でもてなして♪」というフレーズが、「ささやき声(ウィスパーボイス)」になっていることから分かるとおり、この曲のテーマは「ふわふわ感」なのです。
よって、この動きは「優しく息を吐いている」というイメージなのであり、だから「ゆっくり差し出される」必要があって、「手先の動き」も「繊細なニュアンス」を表現していなくてはならないのです。
愛理(中央)とめぐ(右・手前)の手を見てみると、愛理が指先にニュアンスをつけているのに対し、めぐは”ちりとり”のように扁平です。(この映像では見えませんが、奥の舞美も扁平です)
当該する部分の歌詞も、「告白をしたり キスしたり♪」とフェイスコンシャス(口に視聴者の意識があつまる)な作りになっていますから、「吐息」のイメージと相まって、なおのこと愛理の動きこそ相応しいと言えるのです。
激しさこそない楽曲ですが、もともとそちらはアイドルに向かない(極めようとしたらマッチョになってしまう。あなたはビヨンセのようなガチムチの肉体に欲情できますか?)のであり、このタイプの楽曲こそがアイドルの本分だといえます。
よって、やはり愛理の持つアドバンテージの大きさが確認できるというわけです。
一般のダンスの清水、アイドルダンスの前田
よって「清水vs前田」は、おなじ構造を持つ「矢島vs鈴木」の結果から考えて、かなりいい勝負になることが分かるわけです。
これを見てください。
High-King「C/C(シンデレラコンプレックス)」
http://www.youtube.com/watch?v=PaEQusgAfuM
1分09秒あたり
後列の3人(左から清水佐紀・矢島舞美・前田憂佳)の動きを見ると、前田憂佳の肩の柔らかさが尋常ではないことに気づきます。
最初のエントリで「アイドルにとって肩は顔のパーツの1部である」と示しましたが、「肩の柔らかさ」はこれを助ける(肩が柔らかくないと、顔に寄せることができない)ものであり、前田の「フェイスコンシャス」なところが現れているわけです。
清水の「一般のダンス」のうまさについては、いちいち説明する必要もないでしょうから端折りますが、彼女は「アイドルのダンス」に関しては並でしかありません。
一方で、前田はその逆になっており、この楽曲における両者はまさに「両雄並び立つ」状態にあるのです。