「STAR DRIVER 輝きのタクト」はなぜ不評なのか?――視聴者と主人公のシンクロ率について
先ほどTBSでアニメ作品、「STAR DRIVER 輝きのタクト」の第1話が放送されました。
これはいわゆる「巨大ロボットアニメ」で、われわれオタクにとって見慣れたジャンルのはずですが、どうにも意味不明な点が多く、2ちゃんねるのスレッドでも同様のネガティブな反応が多いようです。
これは単純に考えて、「設定が意味不明である」という点に原因がありますが、すでに「エヴァ」を通過したわれわれにとって、その点はあまり重要ではありません。
むしろ、「主人公と視聴者とのシンクロ率」こそが大事なのです。
「エヴァ」も「STAR DRIVER」も、ともに第1話の時点で「なぜロボットが作られたのか?」「どうして戦うのか?」といった「設定の謎」については伏せられていますが、「主人公の態度」という点において、両者はまったくの別物です。
「エヴァ」の主人公である碇シンジは、「視聴者とおなじように」「ロボットに対して終始違和感を覚えていた」のですが、こちらの主人公は「視聴者が頭上にはてなマークを浮かべている」そのあいだ、「ひとりで勝手に盛り上がっている」のです。
このズレこそが視聴者に「おいてけぼり感(=低シンクロ率)」を覚えさせます。
「エヴァ」以降、われわれは「設定の意味不明さが明かされるまでじっと我慢する」という快感をおぼえ(――させられてしまい――)ましたが、それは「主人公と自分がシンクロしている場合に限る」という条件のもとで成立するものなのです。
この作品の視聴者が「意味不明」→「不快」と感じるのは、その条件が整っていないからです。
(※主人公の「視聴者をおいてけぼりにする」という行動は、「ひとりで勝手にテンション上がってる状態」といえますから、島本和彦の熱血ギャグ漫画のような作品としてならば、視聴者も許容できたと思われます)