萌え豚っていうな!

萌えヲタのことを萌え豚となんの根拠もなく言うのを止めさせることを目的としたブログ。自分で言うことも含む。

「モヤモヤさまぁ〜ず2」、ゴールデンへ出てからの経過をみる

 テレビ東京で毎週日曜19:00から放送中の番組「モヤモヤさまぁ〜ず2」。

 これはいわゆる「街ブラ(街歩き)番組」というやつで、「ぶらり途中下車の旅」(NTV)、「ちい散歩」(テレビ朝日)、「鶴瓶の家族に乾杯」(NHK総合)、「ブラタモリ」(NHK総合)などとおなじジャンルに当たります。

 内容としては、その名の通り「タレントが街を歩く」のですが、これといった目的は持たず、見聞きしたもの・出会った人々との交流を、ほとんど垂れ流しに近い形で放送するという、かなりテンションの低いものなのです。

街ブラ番組の異端「モヤさま2」

 いちおう各番組にはテーマがありまして、「ぶらり」や「ちい散歩」が「町の文化に触れる」こと、「家族に乾杯」が「人情に触れる」こと、そして「ブラタモリ」が「町の地政学的な側面(坂や埋め立ての事情)などを考察する」という形なのですが、「モヤさま2」の場合、本当に何も決まっていません。

 むろん、もっとベーシックな話をすればちがいます。

 タイトルからも分かるように、番組はいずれも、笑福亭鶴瓶地井武男タモリさまぁ〜ずといった「看板タレント」のパーソナリティをウリにしていて、「彼らの人間性を見せていくのが目的」なのです。

 要は「街かどの人たちとのコミュニケーション」が見所なのでして、タモリに若干人間嫌いなところがあるにせよ、鶴瓶と地井、そして「ぶらり」の顔である阿藤海は人懐っこく、出会うヒトやモノどもを尊重します。

 では、さまぁ〜ずはどうかというと、これが「基本的にスルー」なのです。

 ただ本当にスルーしていては番組にならないので、「そろそろ画ヅラと会話が持たないから、テキトーな店に入っとく?」といったノリで「番組の都合上、仕方なく人と関わっていく」スタイルなのです。

 だから「ふらっと入った雑貨屋の主人が、意外にも絵描きだった」という場合、「ちい散歩」だったら、熱心になって地井武男が相槌を打ち、ときには絵画の話を膨らませようとして「出たがりの素人(サービス精神が過剰なひとたち)」の相手をするのですが、「モヤさま2」はちがいます。

 三村が立ってマジメに話を聞いているあいだ、大竹はその辺に腰掛けて居眠りしたりします。

 ときにはもう1人の出演者であるテレビ東京大江麻理子アナに任せて、さまぁ〜ずの2人は揃って「聞き役」を放棄してしまうのであり、そのようすはまるで「『校長の話、長げーよ』と思っている中高生」のよう(バナナマンのコントのよう)です。

 これは異様なことです。

さまぁ〜ずは毒を持ったコンビ

 フジテレビの「めちゃめちゃイケてる」といえば「ことあるごとに社会問題を茶化す」ことで知られていますが、この中で放送されている『近くへ行きたい』というコーナーは、「遠くへ行きたい」という日本テレビ系の旅番組のパロディで、同時に「街ブラ番組」のパロディでもあります。

 番組メインキャストのナインティナインが有名人のゲストとお忍びで(変装して)「近く」を観光するというものですが、ここにおけるナイナイとて、出会うひとを茶化すようなマネは決してしないのです。

 さまぁ〜ずというと「やる気がなく、おなじ事務所の後輩である優香に頭の上がらない、『Qさま』(テレビ朝日)の司会者席でヘラヘラしているオジサンたち」というイメージでしょうが、こういった「その場の空気」、すなわち「その場でもっとも繊細なもの」ゆえ、「壊されたことに誰も気づけないもの」を壊して遊ぶ(=匿名掲示板の誹謗・中傷のようなものです)という、かなり「Sっ気のある芸風」をしているのです。

 東京の芸人は「先輩にタメ口を利くこと」で有名になった「とんねるず」をはじめ、もちろんタモリもそうですが(出身は博多です)、かなり「ふざけた芸風」をしているのであり、その最新型がさまぁ〜ずと言えるでしょう。

ゴールデンに進出してからの心配事

 そんな彼らの「KYっぷり」が遺憾なく発揮されているのが「モヤさま2」なのであり、番組の「目的」はその「下町を小バカにすること」(あくまで「小」バカ――)にあるのですが、放送開始からはや3年、ゴールデンに進出して2ヶ月が経ちました。

 当初、番組に送られてきたハガキにもあったように、「モヤさまはゴールデンへ行って変わってしまうのではないか」という心配が視聴者のあいだにはあったのですが、番組内での執拗なアナウンスの通り、一見してなにも変わっていないように思えます。

 しかし先週の放送を見ていて、驚きました。

 いつものように3人が町を歩いていると、どこからともなく自転車に乗った小学生の集団が現れ、ロケのようすを眺めはじめました。

 すると三村がふざけて「日曜7時は?」とコールし、「モヤさま〜」とレスポンスがあったのです。

 これは番組が浸透してきている証拠です。

 もちろん、というか案の定、「実際に見ている子」は6〜7人いた中で「たったの1人」でしたが、これは大きな変化です。

 番組が知られるということは、その内容も知られる(=だから子供たちは「街歩きのロケ」という時点で番組名を連想できた)ということであり、これは同時に、「さまぁ〜ずは出たがりの素人を茶化すぞ」といった情報もまた、広がっていくことを意味するわけです。

 これは「さまぁ〜ずの芸風」の危機です。

 「彼らがKYになる」のは、「街角で出会う素人がKYだから(合わせているの)」であり、そんなか番組の浸透によって「『モヤさま』に映るやつ=KYなやつ」という考えが浸透していくわけですから、危機感をおぼえた「街頭の素人」が態度を改めて「KYでなくなってしまう」可能性がある*1わけです。

 まぁ、(よくも悪くも)大ヒットする番組には思えないので、杞憂に終わると思うし、またそうであって欲しいとは思うのですが。

*1:ここから逆に分かるのは、この番組が素人のメディアリテラシーの低さによって成立しているということです。