Twitterに満足できない人って?――メタネーム理論によせて
このところ立て続けにTwitterについての批評を書いてきました。
いえ、あれは批評というか、ほとんど愚痴のようなものでして、リツイートなど一度もされたことがないコミュニケーション弱者の戯言とでも申しましょうか。
しかし、そこで、はたと筆者は考えるわけです。
自分はそんな状態で満足なんだろうかと。
そもそも「Twitterに満足する」とはどういうことなのかと。
その結果、出てきた答えが「メタネーム理論」というものです。
以下では、その解説をしていきましょう。
メタネームとはなにか
「メタネーム理論」というのは、筆者の造語です。
簡単にいえば「本当の名前について考えること」という意味です。
また「メタネーム」とは「本当の名前」のことで、これは「アイデンティファイするための記号」のことです。
よって「個人情報」の類はすべて「メタネーム」に含みます。
例えば「鈴木一郎」さんについて考えてみます。
まず「名前自体」が「彼のアイデンティティ」であるため、「彼のメタネームは4文字だ」と言えます。
さらに「彼」は「平均的な日本人」なので、各種の個人情報を持っています。
例えば「ケータイの番号」がそうで、これを足したものもまた、「本当の名前(メタネーム)」になります。
つまり、「鈴木一郎」さんの「メタネーム」は「鈴木一郎09012345**」といった具合です。
「メタネーム」とは、このようにして「名前とそれ以外のさまざまな文字を含んだもの」のことを指します。
自己表現の最低文字数
さて、「彼」こと「鈴木一郎09012345**」さんには、もっと「記号」があります。
例えば、こんな感じ。
種類 | 文字数 |
---|---|
電話番号(固定電話) | 10(桁) |
〃 (ケータイ) | 11(桁) |
メールアドレス(パソコン) | 20 |
〃 (ケータイ) | 20 |
暗証番号(銀行) | 4(桁) |
健康保険番号 | 6(桁) |
ほかにもまだまだあるでしょうが、とりあえず足してみると、合計で71文字になります。
この「メタネームの合計数」を筆者は「自己表現の最低文字数」と名づけます。
これはどういう意味かというと実はそのままで、「自分を表現するために最低限必要な文字数」のことです。
例えば「鈴木一郎です」と名乗る場合、彼は「6文字で自己表現した」わけですが、もっと何か言い足したい場合、それは増えていくことになります。
例えば「趣味について言い添えたい」のなら、「趣味は音楽鑑賞です」とか「趣味:音楽鑑賞」となり、「プラス7〜9文字」になります。
こういうとき「一体どれだけ文字を費やせば満足するのか」、その下限を示すのが「自己表現の最低文字数」なのです。
そして、これが「メタネームの文字数」とイコールになる。
つまりこうです。
本当の名前=メタネーム=自己表現に必要な最低限の文字数
各メディアの限界について
さてさて「彼」の場合、「鈴木一郎09012345**」の後に「各種の記号」が追加されます。
その際、合計で「71文字」になったのでしたから、「彼は最低でも71文字は費やさないと満足できない(=自己表現できない)」となります。
ここで例えば「俳句」はアウトになります。
俳句の文字制限は「五七五七七」で合計「31」ですから、「彼の自己表現最低文字数」である「71」より少ないのです。
ここで次のように言えます。
ひとは自己表現の最低文字数に適わないメディアで満足できない
さて、いま議論しているのは「Twitter」の話でした。
ご存知のとおりTwitterの文字制限は「140字」ですが、以上のことから、このようにも言えます。
メタネームが140字以上あるひとはTwitterで満足できない
つまりTwitterにも限界があるということですね。
これがとりあえずの答えになります。
現代人のメタネームは膨大
さて、ここで気になるのが、そういったひとがどれくらいいるのかです。
先ほどの「彼」の場合、「71文字」でしたから、一見して大丈夫そうです。
しかし、実際にわれわれ現代人は、それ以上の「メタネーム」を持っています。
例えば「義務教育」というものがある以上、「出席番号」も考慮しなくてはなりません。
「クラス替えの回数×2桁」としたときに、「クラス替えは2年に1度」とすると、「小学校(6年)+中学校(3年)+高校(3年)=12年」となり、「6×2=12文字」になります。
ここへ「大学の学籍番号(10桁?)」や「運転免許証の番号」、そして「各種暗証番号」などが加わり、メタネームはどんどん増えていきます。
さらに、これは意外と忘れられているのですが、電子レンジや冷蔵庫など、各種電化製品にも個体識別番号がついています。
これなど「自分の生活を支えているもの」ですから、「所有している限りメタネームとして換算すべき」になります。
現代を生きるわれわれは、このようにして夥しい数の「認証番号」を持っているのであり、メタネームの文字数は、おそらく「数百から数千」に上ると思われます。*1
結論
またTwitterは「ネットユーザー」ですが、ネットほど「暗証番号にまみれた世界」はありません。
つまり、このように言えます。
Twitterのユーザーはそうでないひとと比べてメタネームが長い
さらに、日本人の場合、「鈴木一郎(4文字)→すずきいちろう(6文字)」のように「変換可能性」についてまで考慮しなければいけません。
最後に、ここでタイトルの「満足」という主観的なことばを、比較的正確である「自己表現」ということばに置き換えておきましょう。
さて、ここで、ようやく結論が出たようです。
それは以下のようなものです。
およそすべてのひと(特に日本人)はTwitterで自己表現できない
これが「メタネーム理論」によって導いた「メディアと文字による自己表現の問題」です。
ちなみに、この理論は思いのほか便利だったので、また後で使うかもしれません。
当ブログをごひいきの方は、頭の片隅にでも置いておいていただければと思います。