KARAは日本でウケるか −4 Minuteの舞台裏に見る試行錯誤から考える−(2/2)
このエントリは、次のエントリの続きです。
KARAは日本でウケるか −4 Minuteの舞台裏に見る試行錯誤から考える−(1/2)
日本のヒットチャートの奇妙さ
これは誰も語らないことですが、リズムやビートに対してメロディが奇妙な形で融合を果たしているといった現象は、少なくともヒットチャートにおいて、日本が世界潮流に先駆けて成し遂げていたものです。
先ほどの「悲しい曲なのにリフレイン」は04年に、陣内智則が自らの結婚式で歌ったことで有名になった「永遠にともに」でコブクロがやっていますし、Mr.Childrenの「名もなき歌」(96')や「未来」(05')といった演歌のごとき間延びしたメロディをドラムのビート、しかもサンプリング音楽のようなかなり変則的なものに乗せていくといった、かなり変わった曲が大ヒットする(前者は250万枚、後者は100万枚)ということがありました。
筆者の知る限り、こんなランキングは世界のどこにもありません。
4 Minute、2ndシングルの方向性が決定
むろん「オケ=ベースとメロディのズレ」というふうに括ってしまえば、対位法を強調したベン・E・キングの「Stand By Me」(61')などありますが、日本人以外が聴いたら調和していないとすら思われるほど、それが著しく強調されているということが大事なのです。
そして、この「日本人以外が聴いたら」という点、逆に言えば、「日本人は違和感をこそ楽しむ」という点こそが大事なのです。
4 Minuteの担当者は、この点を考慮し「ビートは韓流、メロディは日流のKJ-POPをめざす」というテーマを見つけ出すことに成功しました。
この点もまた筆者は賛成です。
なぜなら同じ韓流アーティストでも、こちらは男性グループの神話(シンファ)と東方神起がまったく同じ理由で失敗したとき、それと同じ改善方法を取ったのが東方神起だけで、彼らが日本のお茶の間に馴染んだのとは対照的に、今となっては名前すら忘れられてしまっているのが神話だからです。*1
翻ってKARA
この2ndシングルは、1stの「Muzik」より確実に売れるでしょう。
しかし大ヒットにまで結びつくかどうかは別です。
そもそもの話、KARAは、すでにしてそれができているからです。
KARA(カラ)について その1、その2
http://d.hatena.ne.jp/salbun/20100520/1274339660
http://d.hatena.ne.jp/salbun/20100520/1274340219/
以前、こちらで「KARAの日本でのデビューが危険だ」と書いたのは、まさにその点を踏まえてのことでした。
そのKARAのデビュー曲「ミスター」の発売は、奇しくも4 Minuteの2ndとおなじ夏です。
4 Minute KARAの両陣営が仕掛ける「KJ-POP」のありかた次第によっては、どちらもややウケで終わってしまうという結果になりそうです。