KARAは日本でウケるか −4 Minuteの舞台裏に見る試行錯誤から考える−(1/2)
2010年05月27日の「めざましテレビ」(CX)では、韓流ガールズポップグループ4 Minute(フォーミニッツ)の日本での仕掛け人を取材していました。
4 Minuteはソウル・R&B(ヒップホップ)系のアーティストで、俗にいうK-POPガールズ四天王(KARA(カラ)・少女時代・2NE1(トゥエニーワン)・ワンダーガールズ)の中でいうと2NE1に近いといえます。
2NE1は完全なるヒップホップですが、4 Minuteはもっとポップス寄りです。
彼女たちのデビュー曲「Muzik(ミュージック)」はすでに日本で発売されていて、オリコンのランキングで21位をマークしました。
新人にしてはまずまずの出来ですが、本国での人気の高さ(チャート1位の常連)から比べると惨憺たる結果だったと言え、「めざましテレビ」も同様の姿勢でした。
番組が追いかけるのは彼女たちの日本でのレコード会社の担当者で、彼は夏に発売予定の2ndシングルの方向性を探っていました。
日韓の音楽性のちがい
ここで彼に1つの壁が立ちはだかります。
それは日韓のポピュラー音楽のちがいで、韓国はリフレインを多用したノリの良いもの、日本はメロディラインを強調した、ノリよりもじっと聴くことを重視したものがウケます。
韓国人の嗜好がどんなものかは、紅白で全身タイツ騒動を巻き起こしたDJ OZMAの「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士」を見れば分かります。
なぜなら、あの曲は韓流のアーティストのカヴァーだったからです。(さらに原曲はドイツ人が作ったもの。つまり「ジンギスカン」のノリです)
彼は4Minuteのデビュー曲の失敗を、「韓国で出したものを、ほぼそのままの形で出してしまったために起きたのだろう」と分析します。
これは筆者も正しいと思います。
ただ加えて、韓国の音楽の流行自体に対する疑問符もあります。
音楽の世界的潮流
リフレイン(くり返しの短いメロディ)+強いビートというのは、もはや音楽の先端からすれば時代遅れだからです。
例えば、ダニエル・パウターの「Bad Day」という曲があって、これは05年に世界的ヒットした曲ですが、サビのメロディがリフレインになっています。
この曲が珍しかったのは、そうでありながら、どこか悲しい曲だったからです。
「Bad Day(悪い一日)だったけど、ただツイてなかっただけさ(=君のせいじゃない)♪」と歌う、前向きな曲ではありますが、とはいえ運に左右される都会的な無力感が漂うものです。
バッハ以来、ここ数百年のあいだ、音楽の世界では「リフレインの曲=軽快で楽しい」「メロディを強調した曲=メロウでどこか悲しい」というのが定説で、作曲の教本にも大抵このことが書かれています。
「Bad Day」はこの定説を覆してヒットしたのであり、この変化は、おなじピアノマン(ピアノの弾き語りアーティスト)であるビリー・ジョエルが78年に発表した「Honesty(オネスティ)」と比べればわかります。